八重洲で働くシングルマザーのブログ

HRのこと、少子化や育児のことなど色々つぶやきます。

iction! FORUM 2016に参加しました~後編~

後編です。

前編はこちら 

chihirock.hatenablog.com


iction!の取り組み紹介&共創の呼びかけ

リクルートワークス研究所の大久保さんのお話の後は
ランチタイムセッションと題し、
ランチを食べてリラックスしながら、iction!の様々な取り組みについて
シェア&共創の呼びかけ。

メディアテクノロジーラボ室長の麻生さんからのご挨拶の後
リクルートグループ各社が作った
iction!関連サービス4つのご紹介。
担当者の方が、5分ずつプレゼンなさいました。

一時保育の検索・予約がアプリ上だけでできるサービス 「CoPaNa」
リクルートホールディングス)

copana.net

リリースはこちら
一時保育の空き状況が検索・予約できるサービス『CoPaNa(コパナ)』をリリース! | Recruit Media Technology Lab (Recruit MTL)

突然子供を預けなければならなくなった時など、一時保育をお願いしたい時に
自宅の近くの一時保育サービスの空き状況を確認し、
アプリ(ネット)上だけで予約が完結するサービス。

園児票もweb上から提出できるフローにしたことがすごい!
保育や介護の現場って、ITの活用がなかなか進んでいなくて
基本紙ベース(アナログ)で業務をしているところが多いから
このフローで認めてもらうのはまず一つの障壁だったんじゃないかな。

そして、実際にサービスをリリースしてみてわかったことは、
予想していたよりも、はるかに多くのニーズがあるということ。

最初は、
・専業主婦のお母さんが、たまに子供を預けてご夫婦で食事に行ったり・・・
・土日に出勤が入って、普段の保育園では預かってくれないから・・・
など、自然に思いつく程度のニーズしか想定していなかったけれど
実際にユーザーの声を聞くと

・そもそも保育園に入れておらず、待機児童状態。
  常にどこかの一時保育などの託児サービスを必死で探して見つけて、
  仕事に行っている
・産休、育休中に、復職後も貢献できるようスキルアップしておきたいから
 そのためにスクールに通いたい
・一人で育児も子育ても全てやっていて、毎日睡眠不足でフラフラ。
 一時保育を利用して3、4時間でもゆっくり眠れたことで
 疲れが取れて、また笑顔で子供と向き合えるようになった

等、多くの喜びの声が届いているようです。

このサービスの素晴らしいところは色々あるけれど
秀逸かつさすがリクルートらしいな、と思うのは
子供を預けたいお母さんにとっても、預かりたい保育事業者にとっても
両方に嬉しいサービスだということ。

一時保育を行っているような無認可保育園って、稼働率が100%じゃない。
この日は何時まで、とか、何曜日だけ預けます、といった
フレキシブルなオーダーを受けているため
逆に、空き枠が発生している。
せっかく保育士さんがいてくれるのだから、事業のためにも
その時間にできるだけ一時保育の予約が入って欲しい!と、事業者側も思っている。

そのニーズをうまくマッチングさせている、
win-winなサービスだというところが気持ち良いですね。

担当者の方がおっしゃっていた言葉が印象的でした。
育児は(母)親が全てを担わなければいけないものなんだ、
という価値観を変えたいと。

本当におっしゃる通り。
先日のNHKの番組でもやっていましたが、孤育てほどつらいものはないです。

www.nhk.or.jp


でも、旦那さんやご両親が頼れない人は、どうしてもそうなってしまいがち。
そんな人たちが気軽に頼れるパートナーとして寄り添い続けて欲しいサービスです。

2時間5,000円の家事支援サービス「casial.(カジアル)」
リクルートスタッフィング

casial.jp

iction!のテーマのである
・妊娠、出産時にやめなくてすむ
・両立によるストレスを減らす
の一助となるサービスです。
担当者の方も、「女性の就労継続支援のためのサービス」とおっしゃっていました。

日本の家事時間の男女差のグラフは、衝撃的。

男女別にみると,日本では男性の家事関連時間が他国に比べて短くなっています。

 

男女別にみた家事関連時間の各国比較のグラフ

 

統計局のサイトより
統計局ホームページ/社会生活基本調査結果からわかること


日本における家事に割く時間の男女差は、平均237分もあり
 OECD平均の2倍!
(※OECDとは?(METI/経済産業省)
下から数えて3番目。

かつ、家事代行・支援サービスの利用率についても調査したところ
「使ったことがある」という人は、たったの3%・・・

・どういうところに頼めば良いのか知らない
・知らない人に自宅に入られるのは抵抗がある・・・
・家事を人に頼むなんて、ダメな嫁だと思われそう

といったところが障壁になり、なかなか現状は変わらないので
そこを解決していきたいとのこと。

確かに、知らない人に自宅に入られて、隅々まで見られるのは
結構、心理的抵抗があると思います。
最近では芸能人の方が、家政婦さんにブランド品を盗難された事件なども話題になりましたし
「本当に信頼できる人たちなんだろうか・・・?」
と不安に思うのは当然。

そこでcasialでは、「安心感の醸成」を重要テーマに置き
最初に、家事をやってくれる方と、コーディネーターが同行してきちんと顔合わせをしたり
初回は1時間無料サービスを受けて判断できたり
といったことを行っているそうです。
これは、他の家事代行サービスにはほとんどない、
自信を持って語れる差別化ポイントとのこと。

また、実は、このサービスによって
「女性の就労機会」を新たに生み出しているのも特徴。
実際に家事をやって下さっているスタッフの方は、これまで専業主婦だった方も多いそうです。
確かに、専業主婦の方も、子供が学校から帰ってくるまでの間なら働けたり
逆に仕事に出かけるママは、自分が仕事に行っている平日日中に家事を済ませておいて欲しかったりと
これも、win-winなサービスですね。

東京23区にエリアを広げ2016年4月1日、正式に事業化とのリリースも!
家事代行サービスがごく当たり前に利用される、心理的な障壁が取り除かれた社会にしていきたいと担当者の方もおっしゃっていました。
今後に期待!
http://www.r-staffing.co.jp/sol/contents/corporate/pr/2016/pdf/RS_NR_16032401.pdf

 

保育園と保護者をつなぐコミュニケーションサービス「kidsly」
リクルートマーケティングパートナーズ)

kidsly.jp

リリースはこちら

保育園と保護者が子どもの"今"を共有できる、子育てをより豊かにするサービス『kidsly(キッズリー)』提供開始!|リクルートマーケティングパートナーズ

 


先述の通り、保育の現場はとてもアナログで、
なかなかIT化が進んでいないのが現状。

でも、連絡帳や保育中の様子の写真などを
もっと気軽に簡単に、いつでもどこでも共有することができたら
もっとコミュニケーションが円滑になったり、
旦那さんの育児参加も促進されるかも!?

たしかに、連絡帳、毎日手書きするの
結構酷なんですよね。。。
これを、たくさんの子供の分、全て毎日手書きしている保育士さんたちには
本当に頭が下がる思いで・・・

最近では、常にwebカメラで保育中の様子を保護者が見られるよ!
というような先進的な園も出てきているけど
なかなかまだ希少だと思うので
子供の様子を日々、文字と会話だけでなく、写真で見られるのもありがたい。

デジタル化することで少しでも保育士の皆さんの業務負担が軽減されれば、
という期待も高まりました。

現在13の保育園で導入して頂いており
4月からは、40の園に拡大するとのこと!

ビジョンムービーも素敵なので是非見てみて下さい。

youtu.be

 

 

妊娠/出産から職場復帰までを応援するアプリ「カムバ!」

www.recruit.jp

 

これは、私が社内でダイバーシティ担当の方と、ワーママの皆と
何度かディスカッションを重ねていた時にも
「あったら良いな〜〜」と話していたサービス。

職場復帰前に、ワーキングマザーの先輩の話をどれくらい聞いた?
というインタビューをしてみると、
大体の方が「2、3人・・・」
と答えるそう。

でも、住んでいる地域や、実家の助けが得られるかどうか?や
職種ごとの働き方の違いなどによって
ぶち当たる壁や、欲しい情報は、異なってくるはず。

なるべくなら、自分とできる限り状況が似ている人から話を聞けた方が
有効な情報が得られる。

でも、そんな人なかなかいない。。。

というのが現状だと思います。

だから、たくさんの色々な先輩ワーキングマザーや
専門家の皆さんから情報を集めて
妊娠・出産・その後の復職を安心して迎えられるようなサービスを!
ということで作られたこの「カムバ!」。

妊娠周期に応じたアドバイスなんかは、他社が出しているアプリもありますが
一味違うのは、「働いているママだからこそ」知りたい情報、という視点で
情報がまとめられていること。

なかなか仕事に穴を開けられないけれど
無理がたたって悪化して、入院・・・なんてなってしまっては元も子もありません。

「こんな症状が出たら、仕事を休んででもすぐ病院に行った方が良い!」
などのアラームをしっかり教えてくれているそうです。

また、パートナーとのタスク共有・役割分担ができる機能もオススメ!

その他、保活に関することや
たくさんのワーキングマザーの、ボリュームたっぷりのリアルな体験談など
私も当時、欲しかった!と心から思う情報が満載。

たくさんの情報の中から、自分に合った有効な情報をピックアップして
生活に活かしていける、とても役立つアプリだと思いました。

 

AERA×iction!×SUUMOの取り組み

3月28日号のAERAにて、
AERA×iction!×SUUMOがコラボして
「子育てしながら働きやすい街」を徹底調査した結果が、ボリュームたっぷりの記事にまとめられています。
首都圏101自治体の「育てやすさ」「住みやすさ」のデータや政策、市区長のコメント、さらにワーママの皆さんの口コミも掲載。

publications.asahi.com

 

この調査についてAERAとSUUMOの方で詳細を語るディスカッションも行われました。

AERAとしては、「子育てしやすい街」の調査は毎年していたけれども
そこに「子育てしながら働くには?」という要素を加えたのは、今回が初めて。
首都圏101の自治体にアンケートを送ったところ、
詳細なデータとともに、しっかりと全ての自治体から回答があったそうです。

サテライト園まで子供を連れていけば
そこから本園までの送迎をしてくれる自治体もあり
厚木市などは、それを幼稚園でもやってくれる!

また、我孫子市はファミサポが病児保育もやってくれて
かつ、すごい充足率!

などなどの、めちゃくちゃ詳細でリアルな情報がたくさん得られるので
妊娠・出産を機に、住む場所をどうしよう??と考えている方は
今号のAERA、絶対読んだ方が良いと思います。

とはいえ雑誌の紙面だけでは、伝えられる情報量に限界があるので
今後SUUMOのサイトでも詳細データを公開していく予定。

乞うご期待です!  

suumo.jp

 

ランチタイムセッションの後は
お待ちかねの、豪華メンバーによるパネルディスカッション×3!

パネルディスカッション
(1)子育てしながら働きやすい社会とは~妊娠・出産・介護でも辞めない仕組みをつくる~

・モデレータ:(株)朝日新聞出版 AERA編集部 編集長 浜田敬子

・パネリスト

  1. 内閣府 内閣府少子化社会対策大綱を踏まえた結婚・子育て支援の推進に関する検討会 座長代理(民間シンクタンク 勤務) 渥美由喜

  2. 横浜市 政策局政策課 担当係長 関口昌幸

  3. サイボウズ(株) 事業支援本部 執行役員 事業支援本部長 中根弓佳

  4. (株)リクルートスタッフィング 執行役員 営業統括本部副本部長 吉井栄伸

行政・民間など、それぞれの立ち位置で
何が課題だと感じ、どんなことに注力しているか?

サイボウズ中根さん:
2005年に離職率が28%に達してしまった時から、
社員が辞めない・働きやすい会社にすると腹を括り、様々な改革を行ってきた。
(※詳細は様々な記事がたくさんweb上にも掲載されています)

cybozushiki.cybozu.co.jp

だいぶ制度やツールは整っているので、従業員一人一人が
自分は一体どういう働き方を選択し、どう生きていきたいのか?を自分でしっかり考えて覚悟を持てるようなマネジメントをしていこう、
ということに今は注力している。

リクルートスタッフィング吉井さん:
人材派遣という事業の特性上、やはり登録スタッフは女性が多く
従業員も女性比率が高い。
派遣スタッフの方々が、産休・育休を取った後も、
またリクルートスタッフィングを使って仕事に就きたい、と思ってもらえるような支援
また、自社の従業員たちも、ライフイベントによる生活の変化で辞めずに済むように
たとえばスマートワークという労働時間を削減し生産性を上げる取り組みなどを行っている
(※スマートワークについてはこちら)

www.huffingtonpost.jp

 

横浜市関口さん:
2025年度問題が大きく話題にもなっているが
横浜市でも、2025年には約100万人の高齢者を抱えることになり
そのうち6割は後期高齢者となる予測。
子育て世代も、労働力人口も大幅な減少が見込まれている。

横浜市中期4か年計画2014~2017/2 本市を取り巻く状況とその対応http://www.city.yokohama.lg.jp/seisaku/seisaku/chuki2014-/pdf/soan2.pdf

それを見越して、様々な計画と実行を進めてきたが
それにより、この10年で子育てや介護の支援にかける予算も
膨大に増えた。

このままでは財源がいくらあっても足りない…という状況なので
自治体だけでなく、企業や個人の方々といかに連携し合ってイノベーションを起こしていくか、が重要だと考えている。

 

渥美さん:
自身は、介護も育児も同時に経験したまさに「ダブルケア」の当事者。
晩婚化の社会では、自分と同じ状況になる人がこれからどんどん増えてくると思うので
そこが重大な課題だと思っている。
自身の当事者としての経験や、様々な企業の調査やコンサルティングをしてきた経験を踏まえて、役に立つ情報提供ができれば。

※渥美さんも様々な記事で発信をされています

news.mynavi.jp

(本当はもっと熱くいっぱい語られていたんだけど早くてメモ取れなかったんですごめんなさい どの方よりもパッション溢れていました渥美さん!)

 

サイボウズはなぜ「働き方革命」ができたのか?
どの企業でも簡単にできるようなことには思えない 

中根さん:
なぜできたか。それは、単純に採用力がなかったから。
規模や知名度などのブランドがない会社で、優秀な方を採用しようとすると
ものすごいコスト・パワーがかかる。
そして、新しい人を採用したら、育成等のコストも発生する。
採用力のないITベンチャーで、膨大な費用とコストをかけて採用・育成しても
辞められてしまったら、次に採用・育成するのはまた本当に大変。
「採用する、というより、辞めなくする・いてもらう」
ことに注力した方が合理的だ、という結論に至った。
(何よりかなりの危機感があり、切迫した状況だったと思われます)

浜田さん:そのために何をしたのか?

中根さん:
長時間労働を無くす、と一律に制度化するのではなく
「働きたい人は長時間働いてもいいし、働きたくない人・働けない人は短くても良いじゃん、人それぞれで良いじゃん」という制度にした。
今では、働く時間のレベル3段階と、働く場所(在宅?出勤?)の3段階でマトリクスを組み、9分類の働き方が選べるようになっている。

※9分類の選択型人事制度に関しての記事はこちら

www.keyman.or.jp

改革を進める上で重要視してきたのは
「公明正大」と「議論」。

在宅勤務をしながら、途中でご飯を食べに出かけたり、子供のお迎えに行ったりして
都度休憩を取ったりしても良い。
ただ、全て言って下さいね、嘘はつかないで皆で正々堂々とやりましょうね、
という「公明正大」な文化を築き上げた。
そうすることで、働き方を個々人に任せられる信頼関係が
従業員の間で担保できている。

また、もし「不平等だ」「おかしいな」「難しいな」
などと感じたことがあれば、陰口を叩くのではなく
自分で声をあげて、議論しよう。そして、全体最適を考えて、ルール化していこう。
ということを大事にしている。

いくら会社が制度を作っても、
従業員一人一人が、自分で自分の生き方・働き方を決めるんだ、マネジメントするんだ、という覚悟がないと、成り立たない。
制度・ツール・風土(カルチャー)の全てが整わないとうまく回っていかないが
ツール」については、かなり世の中的にも整ってきていると思う。

特に、サイボウズグループウェアを使えば
web上にバーチャルなオフィスができるようなものなので
思っている以上に、場所が離れていることでのデメリットを感じずに、場所を問わず働くことができる。

渥美さん:
自分もいつでもどこでも場所を選ばず働いている。
かなりITツールは整ってきているので、それが可能になっている。

関口さん:
横浜市でも、やはり子育て中の女性たちが
家から1時間、2時間もかけて都内まで働きに出て・・・というのは負担が大きいので
自宅の近くでも働ける環境を用意できるよう、テレワークセンターの整備などを進めている。
極端なことを言ってしまえばカフェなどでも仕事はできるわけだが
やはり人に見られてはいけない情報・聞かれたくない情報などもあるので
セキュリティ環境等にも配慮している。
地域との共創(living labo)という考え方も取り入れて、もっと色々と取り組んでいきたいと考えている。

女性が子供を産んだ後も働き続けたいと思った時に
障壁となるのはどんなことなのか?

吉井さん:
人材派遣事業でいくと、「すぐにでも来て欲しい」というクライアント企業のニーズがあることが前提となるため
「いつから来れますか」がはっきりしないと、復職できないケースが多い。
子供を預けられる環境等がしっかりと整わないと、実際に出勤することはすぐには難しいので、そこが課題。
子育てをしながらも働きたい女性たちにとって、派遣社員
労働時間や裁量の面などで、比較的復帰はしやすい雇用形態だと思うので
クライアントに対しても、柔軟な受け入れをして頂けるような理解を得ていくことが我々のすべきこと。

渥美さん:
全国の色々な企業を取材やコンサルしている中で感じるのは
多様な働き方を受け入れることは、必ずしも大手企業にしかできないわけではない。

地方の中小企業などでも、経営者がしっかりと問題意識を持っていれば
トップダウンで推進され、かなりダイバーシティが進んでいるところなどもある。
中小企業は、トップの考え方により2極化してきているという感覚。

とはいえやはり、育児や介護で時間制約がある働き方を選択したり、急に子供が熱を出して休まなければならない、ということが起こるようなケースを想定すると
業務をいかに洗い出し、見える化しておくか、ということが重要。

多くの人が、「自分が一番忙しい」「タスクが膨大」と思っている節があるが
洗い出して見える化してみると、他の人より自分の方が生産性が低いことに気付いたり
「この仕事はこの人じゃなくてもできるよね」と、
他の人に振れる仕事があったりする。
そうやって不測の事態にも対応できるマネジメントをしておくことが、
いざという時のリスク管理にもつながる。

いかに、他の企業がやっていないことをやって、差別化できるか?が
今後労働力人口がどんどん減少する中で人材確保をしていくにあたり
大変重要なキーワードになってくる。

関口さん:
横浜市としても、横浜市にある企業に協働し合ってもらい
オープンイノベーションが加速したり、
横浜市にある企業全体にダイバーシティが推進されるよう
色々と取り組んでいる。
社会全体を変えていかなければいけないと考えている。

中根さん:
広めていくために、有効なことは
最初に「こうしますから!」と宣言したり
実際にやってみて「意外といけるじゃん!」と思ってもらったりする
小さな一歩一歩。

「うちの会社は毎日何時までには帰ることにしたので、何時以降はメールを返せませんがごめんなさい」
と社長が宣言している企業もある。

重要な会議にどうしても出られなくなり
在宅で参加したところ、それによって
「全然これで問題ないじゃん!」と思ってもらえたことも私自身あった。

小さな成功体験を積み上げていくことが大事。

 

企業から見て、行政にもっとお願いしたいことは?

中根さん:
保育園を増やすことも重要だが、保育園である必要性はないと思っている。
ベビーシッターやファミリーサポートなど含めた育児サポートのサービスが
もっと使いやすくなる仕組み作りをして頂けたら・・・。

吉井さん:
複数人お子さんがいるのに、それぞれ違う保育園に預けなければならないような現状はなんとかして欲しい。
送り・迎えだけで大変なパワーや時間がかかってしまっているママさんが結構いる。

関口さん:
真摯に受け止めます。
保育や介護の業界には、ICTが入りづらい傾向もあるので
保育士さんや介護士さんの業務負担を少しでも軽減するためにも
ICTによる業務効率化などができないか、という取り組みも
みなとみらいにオフィスがあるアクセンチュア社と一緒に進めている。

保育園と介護施設を同じ場所に作り、関わりを増やし相互作用を促す取り組みなども。

ただし、どれも、こちらからルールを決めて落とすだけ、
というやり方では絶対にうまくいかないと考えている。

ある介護スタッフの方が、どうしても子供を預けられない事情があり、
職場に子供を連れてきていたところ、それが小さなきっかけとなり
その後地域の子供達と介護施設で暮らす高齢者の方々との
交流が盛んになった、という事例もある。

そういったように、現場としっかりと対話しながら、小さな事例を増やしていき、
それをどう一般化していくか、という進め方をしていきたい。


※高齢者施設と子育て支援の連携でのモデルケースとして良く取り上げられている
以下の事例なども話題に上がっていました
社会福祉法人フェニックス|平成25年度子どもと家族・若者応援団表彰 内閣総理大臣表彰 - 内閣府

 

最後に、それぞれのパネリストの方々から一言ずつ頂いて終了となりましたが
その中で、
「こういう場に来て『勉強になったね〜』で終わってはダメですよ。
 じゃあ自分には何ができるのか、を考えて、皆で変えていきましょう」
と、関口さんがおっしゃっていたのが印象的でした。

正直、公務員ってそういう感じでしょ、という感覚があったので・・・苦笑
市の職員の方から、そういった発言が出たのが意外。

横浜でも、対話の場をこれからまた設けていく予定とのことなので
横浜市民としては、期待大!

 

また、渥美さん・中根さんがしきりにおっしゃっていた
「個々人が自分の生き方に向き合う覚悟」という言葉も印象的でした。

自分がどうありたいのか?どう働きたいのか?どう生きたいのか?
それがなければ、そもそも制度やツールがあっても
使いこなすことも、議論してもっと良くしていくことも、できませんよね。


中根さんは特に、制度改革をサイボウズ社内で実際に推進されたからこそ
実感のこもった言葉で語っていらっしゃいましたが
会社が制度・ツールを用意するだけではダメで、絶対に
「風土(culture)」を築くことが必要。
でも、風土は一朝一夕でできるものではないので、ここが一番大変。

まずは、人を知ることが大事。
100人いたら100通りの価値観があり、自分と全く同じ価値観の人なんて一人もいない。
まずは、隣の席に座っている人が、どんな価値観を持っているのか?
知るところから始めてみては?
それが、多様性を受け入れる、多様な方が働きやすい社会を作る、第一歩。

サイボウズ社も、きっと並々ならぬ苦労を乗り越えて
一人一人が多様な働き方を受け入れたり、
自分がどう働きたいかを自分で考え発信する
そんな風土を築き上げてこられたのだと思います。

ろくに社員と対話もせず、制度だけ他社のマネをしてうまくいくみたいに思ってる
ヌルい経営者の方々に喝入れて欲しいなと思いましたね!

 

(2)「両立」から「シェア」へ~家庭での"男性活躍"を応援しよう~

・モデレータ:ジャーナリスト 治部れんげ
・パネリスト

  1. 三井物産ロジスティクス・パートナーズ(株)代表取締役社長/NPO法人ファザーリング・ジャパン 理事 川島高之

  2. 認定NPO法人フローレンス 代表理事 駒崎弘樹

  3. グーグル(株) マーケティング部 ブランドマーケティングマネージャー Women Will プロジェクト リード 山本裕介

  4. 国立大学法人 東京農工大学 リーディング大学院 特任准教授 坂根シルック

尊敬する治部れんげさんがモデレータ、
かつオリジナリティ・発言力溢れる、名前も特に知れている方々がパネリストとあって
期待通り、一番笑ったセッションでした(笑)

 

まず、この「男性活躍」という言葉は
治部さんの息子さんのアイデアだそうです。

「女性活躍」についての資料を作っていたら、それを見た息子さんが
「女性だけ活躍なんて!男性も活躍しなきゃ!」
と言っているのを聞いて、確かにそうだな・・・と、
タイトルに持ってこられたとのこと。 

そうなんですよね。
女性は社会に進出しているのに、男性は家庭に進出していない。
会社では活躍していても、家庭や社会で活躍している男性は
あんまりいないのが現状です。

そんな中レアな方々が集まっているので、まずはこの質問。

ご自身はどんな形で”家庭参加”されていますか?

川島さん:
子供のお弁当作りを毎朝やってきたのと
土日に子供の面倒を見ること
また、PTAの会長なども務めた。

自分の場合、家庭内でのボスは妻なので
逆らう余地なんてない!
やれるかやれないかではなく、やることが前提。

でも、「やる」と決めたら、やるためにどうするか考える。
本気でやろうとすれば、できるんです。

駒崎さん:
基本的には毎日9時〜18時までしか働かず、
毎朝二人の子供を保育園に送って、
夜仕事を終えて帰ってきたら、ご飯を食べさせてお風呂に入れて寝かしつけて・・・
までが僕の役目。
初めの頃は、子供と一緒に寝落ちしてしまうことに抵抗があって
悔やんだりしていたが、
段々それも幸せなことだな〜 と思えるようになり
逆に朝早く起きて、前日にできなかったことをするようにしている。

山本さん:
自分の場合は、働く時間をあえて毎日固定で決めずに
フレキシブルに対応している。
会議が無い日であれば、3時に帰って家のことをやることもある。

家庭への関与の仕方はそれぞれ多様。いろんな形があって良い。
ここ数年で、かなり価値観が変わってきている。

坂根さん:
私が1985年に再来日した当時は、
セクハラ・パワハラは当たり前だったし、女性は寿退社するものだった。
自分の親も当たり前のように、子育てをしながら働いていて
結婚したり子供ができても、息をするように当たり前のように働き続けるものだ、
と思っていた自分にとっては、とてもショックだった。
当時は、男性で育児をしている人なんて、自分の周りには誰もいなかった。

その時代からすると、本当に変わってきたと思う。

駒崎さん:
僕も、起業した当時は
男なのになんで?子供もいないのになんで?など
色々と言われた。

でも今は、価値観自体がだいぶ変わってきているように思える。
川島さんのような世代のおじさんたちと僕らでは、
かっこいいと思う価値観が違う。

学生時代の同年代の友人なんかと会う時に、仕事ばかりで家庭を省みない人がいると
それってイケてない、カッコ悪い、という風潮になっている。

おじさんたちはそれが未だにかっこいいと思ってるみたいで、分かり合えないので
じゃあ、理解してもらえなくても別に良いや。
俺たちだけお先に〜! という感覚。

googleは、なぜ3時退社ができるのか?

山本さん:
やはり、カルチャーによるところがとても大きいと思う。
フレックスといいながら、結局固定の働き方をしている会社も
世の中にはたくさんあるから。

googleでは、プライベートな予定でも、カレンダーに入れる。
みんな、それを見ながら予定を調整する。
それが当たり前のカルチャー。

坂根さん:
フィンランドと日本の違い、という観点で見ると
フィンランドは、何をするにも、本人に任せる
自分で考えて判断・行動させる というカルチャー。

でも日本は違う。
すごく”管理”される社会。

ノキアジャパンに勤めていた時、
日本でも在宅勤務を導入しよう!という案が持ち上がった際
多くの人が反対した。

「在宅勤務なんてできません!」と。

今まで行動や時間を管理されてきた人からしたら
いきなり「自由に働いて良いよ」と言われても、困ってしまう。
どう働いて良いのか、わからない。
「何時から何時までここで働いて」と管理される方が、楽だったりする。

川島さん:
おっしゃる通りで、日本のマネジメントというのは
”狭義の”マネジメントにとどまってきてしまった歴史があると思う。

本来「マネジメント」とは、エンパワーメント、エントラストといった
様々な意味合いが含まれる言葉なのに
日本で言うマネジメントとは、単純な行動管理のみのケースが多い。
そんなの誰だってできる。

僕は日本の古い文化がそのまま残っているような会社にいるが
グループ会社の社長を勤める中で、グループ会社内で初めて
フレックス制度を導入した。

ただしそれが、「子育て中の人にだけメリットがある」制度
という認識になってしまうと、不平等感が出る。

誰でも使っていいんだよ、というカルチャーにすることで
結婚していない人や子供がいない人でも、
趣味に時間を使うために早く帰ったりする。

「その代わり、結果は出そうね」
「結果出さないと、フレックス無くなっちゃうよ」
ということをしっかり伝えている。

そうすると皆、どうしたら自分のやりたいことと両立させながら
限られた時間で成果を出すか?を必死で考えるので
結果、業績も上がった。
経営者にとっても、良いことづくめです。

僕があまりに勧めるから、僕の会社では男性のPTA会長職も異様に増えた(笑)

駒崎さん:
僕もフローレンスを立ち上げた当初は、ITベンチャーと同じ感覚で
がむしゃらに働くのを良しとしていたら
優秀な女性社員がどんどん辞めていった。

これじゃいかんと思い、労働時間の削減に取り組み
残業時間を1日平均15分にまで整えたところ
残業代を支払わなくて良いからコストカットになったし
働きやすいという評判から採用力も上がった。

ワークライフバランスとかじゃなく、
経営者としての合理性で見ても、良いことづくしだった。

※その辺のお話をサイボウズ青野社長との対談でも語られています

florence.or.jp

でも、色々な場でその話をすると
NPOだからできるんでしょ」
「駒崎さんが経営者だからトップダウンでできたんでしょ」
など、皆さんできない言い訳をたくさん並べられる。

事業会社でも、NPOでも、大手でも、中小でも、地方でも
成功事例はたくさんあるから、できない理由は言い訳でしかない。
自分が腹を括ってどうあれるか?に尽きると思う。

 

googleのWomen Willってどんなことやってるの?

 

山本さん:
日本で取り組んでいることのまず一つは、”HappyBackToWork”。

www.womenwill.com

出産などを機にさまざまな理由で女性が仕事をやめてしまう状況を改善するため、家族・上司・同僚・会社の人事・地域社会など、女性の周辺の様々な立場の人ができる「女性が働きやすくなる」イデアを集め、サポーター企業・団体と共に実践の輪を広げていく取り組み。

※コンセプトムービーはこちら

www.youtube.com

 

先日は、サポーター企業の
ABCクッキングスタジオ社、オイシックス社とともに
夫・パパが「家で料理を作る」はじめの一歩を応援!と題して
パパ向けの料理教室を開催。

https://www.abc-cooking.co.jp/press/20160314/

料理に苦手意識を持っている男性も多いが
オイシックス社のキットは、野菜などもすぐに調理できるよう切り分けられていて
男性から見るとプラモデルの部品のようなワクワク感があるようで
皆さんとっても楽しんでいらっしゃった。

もう一つは、”未来の働き方コンソーシアム”と題し
パートナー企業とともに、柔軟性のある新しい働き方のための課題の把握や実践に取り組んでいる。

Google Japan Blog: Women Will: 「未来への働き方コンソーシアム」による働き方改革のヒントを公開します

直近では、業務の見える化ができていないから、在宅勤務が不安なのでは?
という仮説のもと、googleのサービスを使って共有したり、
ということを行った。

googleでは様々なテクノロジーを提供してはいるが
テクノロジーの有無よりも、大事なのはやはり”文化”。

グローバルの会議などをしていると、
自宅から会議に参加している人の後ろに、子供が映り込んだり
膝に乗ってきたりすることが、当たり前のようにある。

自分は激務の広告代理店から転職してきたので
最初はそういうことに抵抗があったが
今では自分も子供がいる環境で会議に参加したり
それで会議が和んだタイミングで起案したりしている(笑)

 

坂根さん:
そのように、普段の自分らしくいられることが素晴らしい。

日本で当たり前のことは、フィンランドでは当たり前じゃない。
例えば、フィンランドには”恐妻家”という言葉はないし
逆に愛妻家という言葉や、単身赴任という言葉もない。

家庭において、奥さんがメイン・管理者で、
自分は管理される側というような意識がどこかにあるのでは。

常に対等で当たり前の存在だったら、そんな言葉は生まれない。

料理教室でお父さんたちがのびのびやれたのも
奥様に管理監督される怖さがなかったからでは??

男性に家庭進出して欲しいと思ったら
女性にも覚悟が必要。
子育てと同じように
口を挟まず、見守る、という感覚。指導する、というのではなく、シェアする。

フィンランドの先進事例を、多くの国が視察にくるけれど
社会そのものや文化や価値観が違う国に、そのまま制度だけcopyしたって
うまくいきっこない!

川島さん:
でも、”恐妻家”というキーワードは、男性が早く帰るためのテクニックとしては
使えることもあるよね。
ファザーリングジャパンに相談に来る人たちには、そんなアドバイスをすることもあります。

坂根さん:
テクニックとしてはアリだけど、
家の中ではどうしても奥さんがボスで、上の立場だから、、、と萎縮してしまうから
男性が家事・育児を手伝わない、ということもおおいにあると思う。

「そんなに文句言うなら自分でやれよ!」と思ってしまうし
自分がオーナーでいられる仕事の方に、どうしても注力してしまうのでは。

駒崎さん:
僕も、フィンランドの田舎町に視察に行ったことがある。
驚いたのは、教育の質の高さ。
20人のクラスに、担任が2人いたりとか、日本と大きく違う。
でも、それってやっぱり、予算の投入量が全然違うからだと思った。

日本でなかなか子育てや教育に予算が投下されないのは
どこかで政治家が、子育てや家事・育児をなめてるからなんじゃないかと
僕は思う。

自分が当事者で、問題意識を持っていたら
自然と重要視すると思う。
軽視してるから、当事者意識がないから、優先順位が下げられてしまうのでは。

でも、女性が色々言うと「あーまた・・・」と思われてしまうから
我々男性が、声をあげていかないと!

どこに何があるかわからないから手伝えないとか、そういうハードルがあるなら
収納にテプラで何が入っているか貼っておくなどして
夫婦で工夫し合うことも大事。

 


「でも、うちはどうせ無理・・・」と思っている女性はたくさんいると思う
そういった女性たちに、まず1歩ここから進めてみては?のアドバイスを!

川島さん:
1つは、夫のお母さん経由で褒める。
男は褒められると嬉しいから・・・。
「◯◯さん、こんなことまでしてくれて、本当に助かっています」
と旦那さんのお母さんに伝えて、お母さんからそれを本人に伝えてもらうと
男性は得意気になって、もっと手伝ってくれるかも。

2つ目は、仕事から帰ってきたら疲れてほっと一息つく時間が男には必要だから
家から帰ってきてすぐに「これやって!」「これはどうなってるの!?」
と言わず、
5分だけでも放っておいてあげて・・・

駒崎さん:
まずは、将来の話からしてみてはどうか。
将来子供は大学に入れたいよね、そうすると教育費がこれだけかかるよね、
だから貯金はこれくらい必要だよね、そうなると私ももっと働いた方が良いよね、
でも働くとなると今ある家事・育児のタスクを全て一人ではできないよね・・・

など、”ビジョンからタスクに落とし込む”伝え方をやってみてはどうか。

左脳派の男性には効くと思う。

山本さん:
週に1回でも早く帰ってこの家事をしてね、など
まずはハードルの低いルールから決めて、それを守ってもらうことから始めては。

「やる」と決まったら、その前提で物事を考えざるを得ないので
足し算から引き算のマインドセットになる。

仕事なんて終わりはないから、あれもやらなきゃこれもやらなきゃ・・・
とどうしてもなってしまうので、引き算の思考になってもらうことが重要。

坂根さん:
”手伝う”から、”シェアする”という考え方に転換してもらう。
フィンランドでは、”その時に、できる人が、できることをする”という考え方。

自分は掃除は苦手だから料理をやるね、
力仕事だからこれは僕がやるね、など
それぞれの得意分野や、やりたいこと、向いていることをやれば良い。

最後に、会場の皆さんに一言

川島さん:
男性の皆さんへ。
リスクを取ろうぜ、と言いたい。

皆、「早く帰ったら、昇進に響くのでは・・・」などが不安で
リスクを取れないことが多い。

昇進になんて、思ったほど響かないし
響いたとしたら、そんな上司はすぐ変わる!
それに、頑張っていれば、絶対に誰かが見ていてくれる。

そして、家庭参加・社会参加をすることで
仕事に持ち帰れることも必ずある。

PTAをやることで、絶対にコミュニケーション能力や
業務効率性は高まるから!

そして経営者や人事の皆さんも、怖がらずリスクを取っていって欲しい。

駒崎さん:
一人一人が工作員のような気持ちを持って
革命を起こしていきましょう。

杉並区のある一人の普通のママさんが声をあげたことで
行政が動いた事例だってある。

※治部さんも記事にしていらっしゃいましたね

dual.nikkei.co.jp

バタフライ効果と言われるような、
ほんの少しの変化がきっかけで物事が、社会が大きく変わることは絶対にあるので
ここにいる一人一人が一歩を踏み出すことで、変われるはず。

山本さん:
Woman Willでもやっていることですが、
ぜひ、子育てと仕事の両立のためのアイデア
皆でもっとシェアしていきましょう。

皆さん自身がすごくないと思っていても、
他の人にとってはとても役立つ情報も、たくさんあると思うので。

坂根さん:
一個人として、どう生きたいのか、どう人生を全うしたいのか、ということに
覚悟を持って向き合って欲しい。

また、日本はカテゴライズしがち!
専業主婦とワーキングマザーとか、色々と。
子供は社会の一員だと思って、自分と違う世界のことだとカテゴライズせずに
関わっていって欲しい。

 

3)「もう一度働きたい」を実現する~時間制約と不安を乗り越えるには~

・モデレータ:(株)チェンジウェーブ代表 佐々木裕子
・パネリスト

  1. ヤマト運輸(株) 人事戦略部長 渡邊 一樹

  2. (株)AsMama 代表取締役社長 甲田恵子

  3. NPO法人ママワーク研究所 理事長 田中彩

  4. (株)リクルートジョブズ メディアプロデュース統括室 兼 IT戦略室 兼 事業開発室 執行役員 仲川薫

いよいよ最後のパネルディスカッション。

それぞれの立場で、今どんな取り組みをしていますか?

渡邊さん:
ヤマト運輸では、運送業は男性の仕事・・・と思われがちですが
自社の事業を「運送ではなく、サービスなんだ」と定義し
男女分け隔てなく働ける仕組みを推進しています。

具体的には、実際の配達業務を
女性の方にやって頂いています。

免許が無くても自転車で運べる環境などを整備したことで実現できています。

※話題になっているのでご存知の方も多いかと思います

www.nikkei.com

 

甲田さん:
安心して子供を預けられるところがない・・・
でも顔も知らない人にいきなり預けるのは不安だし・・・
というニーズにこたえるため、
AsMamaという会社を立ち上げ、地域交流のイベントなどで顔見知りの状態を作り、
安心できる相手同士で子育てをシェアし合う仕組み作りをしている。

 

asmama.jp

 

田中さん:
ママワーク研究所というNPO法人
育児と仕事の両立をしたい人のサポートを行っている。

具体的には、「ママドラフト会議」という取り組みを行い
働きたいママが、これまでの経験や持っているスキルを
企業の人事や経営者の方にプレゼンをする機会を作るなどしている。

企業側としても、働きたいけどなかなか条件に合った仕事が見つからない・・・
という女性が多いんですよ、と話すと、
なんとかしたくても、どんな人なのか顔が見えてこないから
どんな人たちなのか知りたい!という声がたくさんある。

 

www.mamawork.net

 

仲川さん:
求人情報誌の事業を行っているが、中でも育児中の女性に向けたサービスとして
なかなか希望に合う条件の求人がない・・・
という方に向けた求人を取ってきてご紹介したり、
お電話でどんな仕事ができそうか、などのご質問に答えて不安を解消するようなことを行っている。

とらばーゆでは、ママが安心して働ける仕事特集なども。

toranet.jp

 

ヤマト運輸は、なぜたくさんの女性配達員を採用できているのか?

渡邊さん:
女性の配達員の方々は、多くが元々専業主婦だった方。
そういった方々をどうやって採用しているかというと、
セールスドライバーが、配達先のお客様をスカウトしている。
8割〜9割を、ドライバーからの口コミ・スカウトで採用。

ヤマト運輸ではドライバーの担当エリアが決まっているため
日々配達に行く中で、顔見知りになり、信頼関係が築けるケースが多い。
そこから、お声がけをしていく。

とはいえ何故専業主婦の方でも働ける環境があったのか?というと、
経営者の方針で、なるべくお客様の近くに営業所を置きたい、
ということから、6000箇所の配送センターを設置していることが大きい。

センターの近くの、自転車や徒歩で回れる範囲のみの配達となるため
自動車を使う必要がない。

どうしてそこまで、女性の採用にこだわったか?の背景だが
やはり労働力人口の減少という未来を見据えた時の危機感に後押しされた。

サービス提供の要である配達員が減ってしまうということは
運送業として、明らかに競争力が低下してしまうことになる。
そうならないために、先手を打たなければ、という危機感が社内を動かした。

 

佐々木さん:
リモートワークか?サテライトワークか?など
働く場所の議論は良くなされるが
リモートワーク・在宅勤務の課題もやはりある。

子供を膝に乗せながら働ける環境は素晴らしいが、
やはり効率は大きく下がるので
「自宅から通いやすい近い職場で、かつ自宅ではなく集中できるところ」
で働ける上手い仕組み。

同じく、職場復帰を支援している立場とはいえ
ママドラフト会議は非常にハードルが高いのでは?

田中さん:
確かに、最初は大変。
5年から10年ブランクがあるような方だと
「私なんて・・・」という考え方にどうしてもなってしまい、自信を失っている。
そこを、魅力的に伝えられるようにブランディングするのが
自分たちの仕事。

www.mamawork.net

 

子育てをしていると、社会・企業とのつながりが
働いていた時と比べると、あまりないため
本当にもう一度働けるんだろうか、受け入れてもらえるんだろうか、と
みなさん不安な状態。

でも、過去の経験や、育児や家事で得た経験を掘り下げて、
こんな強みがある、こんなことができる、といったことを一緒に考えてあげると
どんどん自信を取り戻していき
企業の前で堂々とプレゼンができるようになる。

その姿を見て、企業の方々も反省したり、変革のきっかけになるという効果もある。
「こんなに優秀で意欲の高い人たちがいるのに、我々はそういった人たちを使いこなせていないのか・・・」
と、当事者意識を高めて下さる企業も多い。

また、働きたいママさんたちに、トレーニングを行い
手が足りていないベンチャー企業の総務部門に送り出す、という取り組みをした結果
試算したところ、130万円かけた教育費に対し
なんと3000万円もの経済効果を、1年で出すことができた。

働くことで預けることになった保育サービスや
今までは節約していた娯楽費や教育費
また、もちろんその方がベンチャー企業の中で貢献なさるからこその
社会に対する経済効果。

企業と個人、両方が歩み寄り、つなぐことで
大きな効果が生まれる。

奥さんが働いちゃったら大変だなぁ・・・と思っている男性も
「自分が家事育児にもっと参加して、奥さんが働いてくれることで
 こんなに収入が増えて、こんなことにもお金をかけられるようになるなら!」
と、夢を持ってくれたら
働き方を見直してくれるチャンスになるかもしれない。

日本では、調査したところ、15才の子の3人に1人は
誰かに頼るのは悪いことだと思っていたり、
自信がなく、自尊心が低かったりする。
就活生の10人に1人は、死にたいと思うことがあると言っている。

母親が、色々な人に頼ったり、色々な人と関わったりしながら
社会とつながっている様子を見ることで
頼っても良いんだ、
こんな人やサービスがあるからこんな風に生きたって良いんだ、
などと、地域性や社会性を育んでくれる効果もあるので
お母さんが働くことには、本当に様々な良い効果がある。

甲田:
頼り合いは、同じ分野でなくても良い。
私なんかは、子供のことでは人に頼ってばかりで、その面で何か返すことはできていない。
でもその代わり、自分の事業で世の中に返していきたいと思っている。


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最後のセッションは心地よく聞き入ってしまい、
あんまり詳細を書き残せず恐縮なのですが
最後に話されていた内容が印象的でした。

 

ブランクが空いている人たちにとって
仕事復帰は誰しも不安なもの。

調査の中で、不安でも一歩踏み出せた人と、踏み出せなかった人との差は
「おせっかいがあったかどうか」だったそうです。

周囲のちょっとした「おせっかい」によって
大きな変化が起こるかもしれない。
周りに、復職に悩む方がいたら、話を聞いてあげたり、ちょっと情報提供をしてあげるだけでも何かが変わるかもしれないので
是非、一人一人がそういった「おせっかい」の意識を持てると良いと思いました。

 

 

最後に

モデレーターを務められた皆さんから
それぞれの立ち位置で、明日から何を始めるか、という決意も含めて
それぞれのセッションについての総括を。

 

(1)子育てしながら働きやすい社会とは~妊娠・出産・介護でも辞めない仕組みをつくる~
モデレータ:(株)朝日新聞出版 AERA編集部 編集長 浜田敬子さん

”つなぐ”という良いキーワードがせっかく出たので
AERAとしても、企業や人など様々なところを”つなぐ”ことに
更に注力していきたい

 

(2)「両立」から「シェア」へ~家庭での"男性活躍"を応援しよう~
モデレータ:ジャーナリスト 治部れんげさん

こういったイベントで、こんなにも男性の参加者が多く
男性の発言も多いものは初めて!
希望を感じた

 

(3)「もう一度働きたい」を実現する~時間制約と不安を乗り越えるには~
モデレータ:(株)チェンジウェーブ代表 佐々木裕子さん

手をつなげる人を、どれだけ増やせるか?が
今後大きな波を起こすために必要なことだと考えていますので
そこに向けた取り組みをしていきたい

 

 最後は、小安さんの音頭で
リクルート流「掛け声」で締めくくられました!

 

今回のイベントを通じてやはり一番感じたことは
「一人一人が、どう生きたいのか?どう働きたいのか?」
を自分で考え、覚悟することが重要だということ。

文句を言っても、
「じゃあどうなれば満足なの?」
「どういう働き方をしたいの?」
と具体的な回答を求められた時に答えられる人は
自分を含め、あまりいないかもしれない。

それじゃあ、会社だって行政だって、困ってしまうよね。


どうすれば、もっと息をするように自然に、ストレスなく
「子育てしながら働く」ことができるようになるのか?
ここに集まった皆さん、集まれなかった皆さん、知りもしない皆さんも
皆巻き込んで、対話して、ヒントをお互いに見つけていきながら
ドミノの最初の1枚を倒せたら!と思いました。

そのために私ができる一歩は”シェア”。
ということでシェアさせて頂きましたが、
関係者の皆さん、何かあればご指摘下さいねっ・・・!

 

 

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そして最後、イベント終わって帰っていたら
hotpepperbeautyの特別号が配られていたよ!

ターゲットである女性がこのイベントの後いっぱい表参道を通ることを見越してだね・・・!

さすがリクルート

写真撮影NGだったので(でも撮ってる人いたけどねw)
テキストベースのすごい読みづらいまとめになってしまい恐縮です。
間違いや補足があったら是非ご指摘お願いいたします。

 

そんな私は息子が今ひいおばあちゃんの家にじじばばと行っていて
自由の身だからこんな長々ブログが書けたのさ!

じじばばにマジ感謝!