八重洲で働くシングルマザーのブログ

HRのこと、少子化や育児のことなど色々つぶやきます。

iction! FORUM 2016に参加しました~前編~

 

本日、こちらのイベントに参加してきました。

表参道のスパイラルホールにて。 

 

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300名を超える参加者がいらっしゃったそうなのですが
非常に世の中の関心も高いテーマだったため、参加枠以上に
応募は殺到していたようです。

超豪華登壇者たちのコンテンツ盛りだくさん、配布資料盛りだくさんな上に
無料なのにランチまで振舞われるという・・・

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素人目線、完全にイチ参加者としての目線だけでいうと
「うぉ~金かかってんなあ!」なイベントでした(笑)

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個人的には、買おうと思っていたAERAと、
WEBベースだと読み込みづらいなぁと思っていた「働くマザーのストレス調査報告書」が配布されたのは非常にありがたかった!!

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参加して心に残ったのは
見える化
・シェア
・(広義の)マネジメント
・個々人の覚悟
といったキーワード。

”シェア”には、育児や家事を旦那さんやサポート機関とシェアする、
という意味だけでなく
”はたらく育児”の事例や役立つ情報を、どんどん当事者意識を持って個々人や企業がシェアしていこう、という意味合いもあります。

「行きたかったけど行けないから、是非どんな内容だったか教えて欲しい!」
と言っていた友人が周りに複数人いたこともあって
私にすぐにできるアクションはやはり”シェア”かなと思い
参加できなかった皆さんにもできる限り情報をシェアできればと考え、まとめます。

長文になりますがよろしければお付き合い下さい!

 

そもそも「iction!」とは??

まずは iction!推進事務局長の小安美和さんからご挨拶。

「iction」とは・・・

このままでは確実に少子高齢化がどんどん進み、
労働力人口の減少が深刻化する・・・
2025年の労働市場を見据えた時に、
今は働きたくても働けていないような人でも働ける社会、
多様な人材が活躍できる社会にしていくことが必要だ!

と、リクルートグループの人材事業を担う4社の役員たちが
覚悟を決めたところからスタートしたprj。

その中でも特に、女性のM字カーブは深刻な問題。

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/image/n4102040.png

総務省のデータより抜粋)


妊娠・出産を機に、今まで働いていた約6割の女性が仕事を辞めている。
そのうち約4割の女性は、仕事を辞めてしまったことを後悔している。
170万人の育児中の女性が、働きたいのに働けない、といっている。

ならばまずそこから始めよう、ということで、
以下のテーマに注力しながら推進しています。

iction!とは | リクルートホールディングス - Recruit Holdings


子育てしながら働きやすい
世の中を、共に創る。

プロジェクトでは「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る。」ために、調査結果から導き出した3つの課題に対して、当事者である子育て世代や、産業界、行政・NPO等と共に解決に向けた取り組みを推進していきます。

1. 妊娠・出産で辞めなくてすむ
2. 育児と仕事の両立によるストレスを減らす
3. 無理なく始められる仕事をつくる

www.youtube.com

動画がとってもわかりやすい!

 

経済産業省の取り組み

オープニングスピーチとして、
経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室長としてダイバーシティ推進を担う
藤澤秀昭さんからのお話。

日本経済の持続的成長には、女性活躍が不可欠。
成長戦略としての女性活躍の推進において

1、出産/育児の前後で労働参加率が落ち込むこと
2、就労している場合も、非正規雇用の割合が高いこと
3、女性の管理職・役員等への登用率が低いこと

を課題と捉えている。

また、働く女性の約6割が第一子出産を機に退職してしまうことに
長時間労働が大きく影響し、「仕事と家庭の両立」を阻害する要因になっている。
政府・企業が連携して環境整備をしていくことが重要。

実際の政策としては、

ダイバーシティ経営企業100選
・なでしこ銘柄の選定
ダイバーシティ普及アンバサダーの登用

などを行っている。

また、組織で働く女性の活躍推進だけでなく
女性起業家を増やす取り組み(女性起業家等支援ネットワーク構築事業
も行っているとのこと。

「女性が大変だから助けてあげよう!」
ではなくて
経営者や男性など、働く女性以外の人から見ても、
経済的合理性の観点も踏まえ「女性活躍はメリットがある!」と思えるように。
当事者意識を持てるようにしていきたい、という言葉が印象的でした。

このへんに詳しく載っているよ。

ダイバーシティ推進(METI/経済産業省)

 

菊池桃子さんからの応援メッセージ

続いて、戸板女子短期大学客員教授も務められている
女優の菊池桃子さんからの応援メッセージ。

40年前からすでに、少子化、人口減少の兆候はあったのに
問題を先送りにしてきてさすがにまずい、となっているのが今。

働く女性たちの生の声は、なかなか政治の世界には届かないけれど
例えば、PTA活動なんかが、育児と仕事の両立に思った以上に
支障をきたしていたりする。

PTAのために仕事を休ませて欲しいと言ったら、
「だから子供いる人は面倒なんだよなあ!」と言われたり
子供が大きくなるまでは、いつPTAの役員が回ってくるかもわからないから・・・と
管理職の打診を受けても、断ってしまったり。

男女平等の度合いを指数化した「ジェンダー・ギャップ指数」で、
日本は145か国中101位。

 

www.nikkei.com

健康や教育、といったファクターでは結構良いスコアを出せているのに
・政治への関与
・働きづらさや賃金の低さ
という点で、男女差が生まれてしまっている。

それは、私たちの意識にも問題があるのでは?

平成生まれの、今の若い世代たち(大学1年生)にインタビューを取ったら
こんな意見が。

・社会進出する女性やイクメンがかっこいい!」とか、
 そういう発言自体が、男女に差をつけているじゃないか
・昭和のアニメでは、良く女の子が魔法を使う。
 それは、女の子は魔法でもなければ戦えないんだ、という潜在的な意識の表れ?
・「肉食系男子」=「男らしい」と決め付けないで
 草食系だって、植物系だって、男だ!

※植物系男子って、初めて聞きましたが、
  ただじっと何もせず、たまに水をやればOK、くらいの感じらしいです!

などなど・・・。

若い世代にはよほど、「ダイバーシティ」を自然に受け入れる価値観が
備わっているようですね。

 

リクルートワークス研究所所長 大久保幸夫さんより
『働く育児』3つの課題についての基調講演

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続いて、iction!でも掲げている、3つの課題について
働くマザーのストレス調査も行った、リクルートワークス研究所の大久保さんより
詳細なデータを踏まえた基調講演。

※働くマザーのストレス調査報告書は、webでもPDFで見ることができます。
 とってもリアルで素晴らしいレポートだと思うので是非!

www.recruit.jp

https://www.works-i.com/pdf/151009_stress.pdf

 

ずっと雇用の問題に関わってきている大久保さんから見て
この4年で、かなり劇的に世の中が変わってきた
という感覚があるそうです。

昔からずっと、少子高齢化による労働力人口減少をどうするか・・・
女性の活躍推進をどうするか・・・は議論されてきた。

でも結局、なかなか変わらなかった。
景気が良くなると議論が生まれ、変わりそうな空気になるけど
景気が悪くなると、立ち消える。その繰り返しだった。
だから正直今回も、
「また同じでしょ」「景気が悪くなったらなくなるんでしょ」
と思っていたが、どうやら今回は違う。

1番大きいのは、東京にある大きな企業が
抜本的に改革を進めていること。
※逆に、地方や中小企業との格差が大きくなっている部分もある

変わり始めるまで時間がかかるけれど
一度変わり始めたら、意外とスムーズに、パッと変われるのが日本という国。

何十年も変わらなかったことだけど、今が変えるチャンス!

ワークス研究所では、
「ドミノの1枚目を倒そう」という表現をするそうです。


ドミノのように、最初の1枚を倒せば、
後は連鎖的にどんどん変わっていくはず。
そのための一歩、ドミノの最初の1枚をみんなで倒そう!
という、非常に心強いお話を頂きました。

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冒頭のお話の後は、実際にデータを見ながら課題の整理。

妊娠・出産を機に仕事を辞める人たちの中には
・育児に関わりたかった
・体調不安定で働けなかった
等の、本人都合の事情もあれど

・(本当は働きたかったけど)働ける環境、子育てしながらできる仕事ではない
・(本当は働きたかったけど)産休・育休取得条件を満たしておらず、戻れなかった

といった切実な事情も多い。

産休・育休の取得条件に関しては
雇用形態によっても大きく異なる。

子供を産んだ後の仕事の継続率は
正社員で働いていた人が52%なのに対し
非正規では18%。

また、母親自身は働きたくても
家族の賛同が得られないケースも多い。

特に地方には、「3歳児神話」がまだ根強く残っていることもある。
科学的根拠は存在しないと証明されているのに関わらず、だ。

三歳児神話 - Wikipedia


何かあるとすぐに「働いているからだ」「子供のそばにいないからだ」
と言われることが目に見えているから、それを思うととても働けない・・・
という声もある。

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 次に、「育児と仕事の両立ストレス」について。

調査によると、8割のワーキングマザーが
「育児と仕事の両立」にストレスを感じている。

話題を呼んだのは「夫の態度ストレス!」
実際の仕事の役割分担以上に
「夫の態度」そのものがストレス、と感じている女性がとても多い。

子育て自体にストレスを感じている人はさほど多くないのに
その周辺のストレスがわんさかある。

日々のストレスや、ライフイベントによって起こるストレスなど
様々あるが
これらが複雑に絡みあっているから、なおのことややこしい。
例えば、夫の態度ストレスが夫婦不和ストレスにつながり、
ストレスで肌が荒れたり睡眠不足になることで美容・健康ストレスも大きくなり・・・など。

結婚相手と、子供ができる前に、どんな約束をしておくかもとても重要なので
このあたりはゼクシィさんにでもやって欲しいですね!

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最後に、「再就職したいのに、できない」問題について。

非就業マザーの60%が、「何か収入のある仕事をしたい」
と思っているが
その中で、実際に仕事を探している人は、たったの15%。
残りの人は、「働きたい」と思っていても、探してすらいない。

これはなぜか??

第一に、子供を預けられる先がないから、働けない。
また、家事や育児が多忙すぎて、現実的には無理・・・というケース。

そして、実際に働きたい!と思い、仕事を探している人たちにとっても
そこから実際に就業までこぎつけるには、大きな壁がある。

ブランク期間のマイナスは大きい。
長い間働いていなかったのに、高いパフォーマンス出せるの?
あなたが働いていた時とは、ITなどの事情も変わっているよ?
心配だから、ブランクのあいていない人から応募があったら、
そちらの人を採用しよう。

そうなってしまうのが、悲しいけれど現実。
私も人材事業に携わる身なので、こういう悔しい思いはたくさんある。
(逆に、専業主婦になっていて、3年以上ブランクがあった方に
 年収800万円のオファー金額で内定が出た時は、ものすごく嬉しかったなあ・・・!
  もちろん、素晴らしいご経歴とスキルをお持ちの方だったからこそ、ですが。)

また、「家の近くでなら移動時間が短いから働けるかも・・・」
「子供が幼稚園から帰ってくるまでの時間なら働けるかも・・・」
と思っても、なかなかそういった条件に見合う求人自体がないのも事実。

そういった背景からなかなかマッチングが図れず、再就職は大きな壁になっている。

後編では、ランチタイムセッションで聞いた、
リクルートグループが開発した実際にiction!を推進するサービスのご紹介や
とんでもなく豪華メンバーが集まったパネルディスカッション×3の模様を
お届けしたいと思います!